やさしい神社学

やさしい神社学④神様って、いっぱいいるの?

ナビゲーター:Gen & Ritchi(神社ログ編集部)

神様について話すハッチとココロのイラスト

神様って、いっぱいいるの?

「この神社にも神様がいるんだよね?」
ふと立ち止まったハッチの問いに、空をふわりと舞うココロが微笑みながら答えました。
「うん、いるわよ。そして他の神社にも、それぞれの神様がいるの」
どうしてそんなにたくさん? それぞれ違うの?
今回は、そんな“八百万の神さま”の世界に触れてみましょう。

神道における「八百万(やおよろず)の神」

日本の神道では、神様は「ひとり」ではなく、「無数に存在する」と考えられています。
この考えを表す言葉が「八百万(やおよろず)の神」。
八百万とは、数がとても多いことのたとえで、あらゆるものに神が宿るという思想です。

山にも川にも、風にも石にも

大きな山、清らかな川、稲を育てる田んぼ、季節を知らせる風。
さらには火や海、雷や星、食べものや道具にまで、それぞれを司る神さまがいます。
神様は“自然そのもの”であり、また“自然の働き”でもあるのです。

神様について話すハッチとココロのイラスト

神様には「名前」と「役割」がある

神様にはそれぞれ名前があります。
例えば、「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」は太陽の神、「大国主命(おおくにぬしのみこと)」は国づくりの神として知られています。
神社ごとに、祀られている神様(御祭神)は異なるため、どんな神様がいるかを知ることで、その土地の性格や歴史も見えてくるのです。

「どこにでも神様がいる」という感覚

神道は「信じる・信じない」ではなく、「感じる・敬う」もの。
だから、神様の姿が見えなくても、空や森や岩にそっと手を合わせるという習慣が、今も日本のあちこちに残っています。
それは、“神様がどこにでもいる”という、日本人の心に根づいた優しい信仰の形なのです。

ハッチとココロの会話

「ココロ、神様って本当にいっぱいいるんだね。びっくりしちゃった」
ハッチはゆっくりとまばたきをしながら、手を合わせたまま空を見上げました。

「うん。そしてね、どの神社にも、ちゃんと“その土地の神様”がいらっしゃるの」
ふわりと浮かんだココロは、ハッチの横にやさしく舞い降ります。

「大きな神社じゃなくても……?」
ハッチの問いに、ココロは迷いなく頷きました。

「もちろんよ。小さな神社でも、そこに住む人たちの願いや日々の暮らしを、ずっと見守ってきた神様がいるの」
「だからね、旅をしたときは、その土地の神社に立ち寄って“こんにちは”ってあいさつすること――それは、その土地の神様に敬意を伝えることになるのよ」

「なるほど……それって、なんだかすごく、あったかいね」
ハッチはそっと目を閉じて、静かにうなずきました。

神様に一礼するハッチと、それを見守るココロのイラスト

次回のテーマ ▶︎ 第5話「本殿と拝殿、どう違うの?」
神社の中心にある二つの建物。
どちらも神聖に見えるけれど、役割は違うの?
神様と私たちをつなぐ“空間”について考えます。

-やさしい神社学

jaJapanese